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Channel: 随筆の世界の魅力
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本屋に並ぶエッセイ

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本屋に並ぶエッセイというと考えるのはスポーツ選手や芸能人が書いたものではないだろうか。スポーツ選手や芸能人など普通であれば著者の心情がわからない人の心情が見えるのがエッセイ作品なのである。日本の有名なエッセイというとまず上がるのが清少納言の枕草子で、日本人なら聞いたことがない人はいないのではないだろうか。枕草子というと同じ時期に作成されている紫式部の源氏物語とともに平安文学の代表作で、後世の文学に多大な影響を与えた。枕草子は鴨長明が鎌倉時代に書いた方丈記、その約百年後の鎌倉時代後期に書かれた吉田兼好の徒然草とともに日本三大随筆に数えられている。江戸時代の階級社会を反映したエッセイは様々なパターンに分かれていき、後期に日記的な書き方が増えていった。江戸時代に書かれた随筆も多く、特に後期に書かれた日記風随筆が現代のエッセイの流れを作ったと言われている。海外の作品を見てみるとエッセイというカテゴリーの語源となったフランスを代表する著名な哲学者のミシェル・ド・モンテーニュのエセーという作品が有名である。日記的な内容で比較的ライトな日本の随筆とは異なり、ミシェル・ド・モンテーニュの書くエセーは当時の人間を深い考察の中で表現しており、哲学的な面も多い作品は現代でも非常に評価が高い。ミシェル・ド・モンテーニュの書き方は非常に独特で、読み物としても評価が高く後の世にエッセイという文学カテゴリーを作る作品となった。小説はフィクションをもとに作る作品なのに対して、エッセイは作者の体験や知識がもとになっているためリアルな人を感じられる作品になっている。近年のエッセイと言うとを著者の経験ベースにしてリラックスした内容で読みやすい書籍だと考える人が多い。主に海外のエッセイが論文的なスタイル、つまりテーマを深く思索された作品であるのに対し日本のエッセイはリラックスしたイメージがある。文学のカテゴリーとしてはエッセイは同じだが、実際に使われる国によっては作品の内容が違ってくるのは意外である。

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